米国がシリアへの軍事介入を検討し、同国から周辺国への難民が増えているため、松本市の認定NPO法人日本チェルノブイリ連帯基金(JCF)など8団体でつくる日本イラク医療支援ネットワーク(JIM―NET=ジムネット、東京)が、隣国イラクへ逃れた難民支援の準備を急いでいる。来週初めにも物資を届けようと、募金を集めている。 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の駐日事務所(東京)によると、イラクへのシリア難民はイラク北部のクルド人自治区を中心に約20万人。シリアの首都ダマスカス近郊で化学兵器が使われ、多数が死亡したとみられる今月21日前後に急増。ここ2週間だけで4万7千人に上った。「米国の軍事介入などで内戦が悪化するのを恐れ、今までにない規模で増え続けている」という。 シリア情勢の悪化を受け、ジムネットは昨年5月にイラクやヨルダンに逃れた難民を支援しようと基金を設立。衣類を届けたり、看護師を派遣して妊産婦検診をしたりしてきた。佐藤真紀事務局長(52)は難民の現状について「着の身着のままで避難する人が多い」とし、9月2日にスタッフがイラク北部に入り、水や食糧を直接届ける予定だ。 昨年設立した基金はほとんど切り崩したため、今回は100万円を目標にインターネットの交流サイト「フェイスブック」や短文投稿サイト「ツイッター」を通じて募金を呼び掛ける。 JCFの神谷さだ子事務局長(60)は「私たちはイラク支援が中心だが、シリア情勢は中東全体に影響を与える大きな問題だ」と話し、シリア難民支援の必要性を訴えている。募金の問い合わせはジムネット(電話03・6228・0746)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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