下高井郡山ノ内町で5月に起きたホテル火災で、5階に取り残された経営者夫婦を救出できなかったことを受け、同町と中野市でつくる岳南広域消防組合は本年度、高さ15メートルから飛び降りた人を受け止めることができるマットなどを導入する。町内には5階以上の宿泊施設が多いが、同組合消防本部にははしご車がない。高額なため配備のめどは立っておらず、現実的な対策を進めていく。 31日、同町で開いた総合防災訓練で町民に公開した。マットは上から見ると八角形で縦、横4・5メートルほど。ボンベで空気を送り込むと1~2分で厚さ2・2メートルに膨らむ。5階相当の高さ15メートルから体重約110キロの人が飛び降りても包み込むように受け止められる。同組合によると、高さ15メートルに対応したマット導入は県内では珍しいという。 建物の窓などから地上へ斜めに張るネットも併せて導入する方針。長さ25メートル、幅5メートルで、建物に取り残された人に滑り降りてもらう。費用はマットが1個約250万円、ネットが約35万円。10月の組合議会に提案する。同組合副組合長の竹節義孝町長は「道幅が狭く電線が多いなど、はしご車が対応できる建物は町内では少ない」とし、「マットとネットの配備で観光客や住民に少しでも安心してもらえればいい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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