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老朽地下タンク来年2月改修義務化 県内給油所、負担重く苦悩

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 漏油事故による土壌汚染を防ぐため、消防庁は来年2月からガソリンスタンドなどにある老朽化した地下タンクの改修を義務付ける。ただ、県内には多額の改修費用を取り戻せるかどうか見通せず、改修に踏み切れない給油所が少なくない。山間部では給油所の閉鎖にもつながりかねず、住民生活を揺るがす問題になりつつある。  今月中旬、下伊那郡阿智村。山に囲まれた同村清内路で唯一のガソリンスタンドを営む桜井大輔さん(46)が、1人暮らしのお年寄り宅へ灯油を配達していた。お年寄りは車を運転できず、「灯油配送がなくなったら生活できない」と話す。  桜井さんは清内路のほぼ全域に灯油を配送している。4基ある地下タンクのうち2基は、既に設置後41年。消防庁の省令改正に従うと、内部を繊維強化プラスチックで覆うなどの改修が必要で、1千万円はかかるという。だが、店の収益はピークだった10年余り前の半分。売り上げの大半は住民向けの灯油、ガソリンの販売だが、清内路では人口減に歯止めがかからない。  「住民の生活を支えてきた自負があり、店は続けたい。でも、将来もこの地でスタンド経営が成り立つのだろうか」。桜井さんは地下タンクの改修に踏み切れずにいる。  消防庁によると、昨年に全国の製油所やガソリンスタンドなどで起きた可燃性の液体や気体が漏れる事故は396件。このうち、約3割の138件は、老朽化した貯蔵施設の腐食などが原因だった。  県内でも改修を終えたスタンドがあるが、県石油商業組合の平林一修専務理事は「改修の負担が重すぎて廃業するスタンドが続出しかねない」と指摘する。  給油所経営には、電気自動車(EV)などエコカーの普及、原油価格の高止まりといった逆風も吹いている。  木曽郡上松町のガソリンスタンド経営山口善夫さん(50)は、「商圏が広域化し、価格競争に巻き込まれている」とも訴える。7年ほど前に国道19号でつながる塩尻市でガソリンの安売り競争が始まり、郡内から同市に顧客が流れたという。  長野市の山間部にあるガソリンスタンドにも、設置後40年を過ぎた地下タンクがある。60歳での閉店を考えていた男性経営者(54)は、全面改修ではなく液面計の設置といった応急措置でしのぐ考えだった。だが、9月に3キロ離れた別のスタンドが閉店。地元の郵便局や新聞販売店、建設業者らから経営の継続を懇願され始め、悩みを募らせている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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