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「心のノート」どう使う? 県内小中 再検討の動き

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 文部科学省がこの夏、民主党政権時代の2011年度に中止した道徳の教材「心のノート」の配布を再開した。県内の小中学校にも順次届き、夏休み明けに児童生徒に配られている。配布再開は、いじめ対策を主眼に道徳教育に力を入れる安倍政権の方針に基づく措置。県内にはあらためて使い方を検討するという学校がある一方、引き続き限定的な使用にとどめるとする教員もいる。  千曲市のある小学校には、夏休みに全児童分の心のノート約600冊が届き、2学期の始業式以降にクラスごとに配布を始めた。08年の学習指導要領改定に合わせて手直しされたが、内容はほぼ02年度の配布当初のまま。校長は「国が道徳教育に力を入れる以上、どう使うのか研究しないといけない」と話した。  文科省が教材を作って学校に配るのは異例で、02年度に配布を始めた当初は教員らから「学校現場への国の介入」といった反応も出た。  10年余りたって教材として定着したと受け止める教員もおり、南信地方の小学校長は「当初はどう活用するか戸惑う教員もいたが、それぞれ考えて使うようになっている」。北信地方の小学校長は「道徳で何を教えればいいか迷っていた教員の中には、心のノートで授業の方向性が分かったという人もいる」とし、「『国定教科書だ』といった批判は聞こえなくなった」と話す。  小中学校の道徳は原則週1時間の必修。正式な教科ではなく、県教委などによると、県内では偉人の伝記など読み物中心の教材を長く使ってきた。これに対し、心のノートは社会的役割の自覚や家族愛、愛国心といった学習指導要領の項目に沿い、「集団の一員として大切なことは」「どんな雰囲気の家族が理想か」などの問いに答えさせる書き込み式の教材だ。  こうした構成に、中信地方の小学校で全校の道徳教育の計画を担当する40代の教諭は、「(国が)敷いたレールに当てはめた答えを求めている」との印象を持つ。「道徳の授業は、将来を見据えて子どもの心に種をまくものではないか」とし、心のノートは部分的な活用にとどめる方針だと話した。  文科省教育課程課は「心のノートは使用を強制しないが、税金を投入しておりできるだけ使ってもらいたい」との立場。来年度には、いじめの防止や伝統文化について触れる項目を拡充し、ページ数を1・5倍から2倍程度にした全面改訂版を配るとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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