マツタケが成長するために適した地中の温度に関し、2010年までの20年間の9月上旬の平均温度は、それまでの20年間の平均温度よりも1度上昇し、結果として生育期間が短くなっていることが2日、県林業総合センター(塩尻市)が下伊那郡豊丘村にあるマツタケ林の試験地で行っている調査で分かった。 マツタケは地中温度が19度以下になり適度な水分があると菌糸の成長が進むが、12度を下回ると成長しにくくなるとされる。試験地では地中の深さ10センチで1971(昭和46)年から温度を観測している。 9月上旬の地中温度の平均(1日の定時計測の平均温度を基にした10日間平均)は、71~90年は19・6度だったが、91~2010年は20・6度。一方で71~90年、91~2010年ともに11月上旬には12度を下回った。このため、同センターは、マツタケの成長が始まる時期が、90年までは9月上~中旬だったが、91年以降は9月中~下旬にずれ込み、一方で成長が終わる時期は同じころのため、生育期間が短くなっていると推定している。 試験地内でマツタケが初めて発生した日の平均は、統計がある81年以降で、81~90年が9月24日、91~2000年が同27日、01~10年は同29日と、遅くなっている。 マツタケに関しては、全国的に温暖化などのため収穫量が大幅に減っている。信州大農学部の山田明義准教授の調査では、マツタケの収穫量は温暖化の影響で西日本を中心に大幅な減少傾向にあることが既に判明。1941年に約1万2千トンあった全国の収穫量は、01年以降はほぼ毎年100トンを下回る量になっている。同センターは「比較的涼しい長野県内でも影響は避けられない」と指摘。マツタケ発生地では地表の落ち葉をよけ、雨が地中に染み込みやすくしておくよう提案している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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