ヒノキをはじめとする木曽地方の針葉樹林の保護や復元に向け、岐阜県境付近の国有林の一部を対象に天然林を手付かずで残したり、持続的な木材利用を進めたりするモデル地域を設定することになった。中部森林管理局(長野市)の検討委員会(座長・山本進一名古屋大名誉教授)が13日、長野市で初会合を開き、方針を確認した。来年度以降、具体的な取り組みを始める。 国有林ではこれまで、一部地域を「保護林」として原生的な自然環境を守ってきた。今回の試みは、保護だけでなく、地域を区分して森林資源の復元や利用も一体的に進め、森と人の共生を目指す構想という。 国有林には、種子から自然に育った「天然林」と、植林した「人工林」がある。モデル地域の設定では、天然林が密集した場所を「保護区域」、その周囲の天然林と人工林が混在した場所を「復元区域」、人工林主体の場所を「調整区域」として区分する。具体的な場所は今後、検討委で決定する。 保護区域では、原則手を付けずに天然林を厳格に保存する。復元区域では人工林を間伐し、土に落ちた種が育ちやすい環境をつくって自然の状態に戻していく。調整区域では、木曽産のヒノキなどを使う伝統建築物や伝統工芸の継承のため、木を切って利用できるようにする。 検討委のメンバーは大学教授、地元首長ら計13人。山本座長はこの日の会合で、「日本のヒノキは世界的にも非常に希少。それがまとまった木曽地方は海外の研究者の注目も集まっている」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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