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島崎藤村からのはがき22枚、小諸市の記念館に寄託

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 文豪島崎藤村が小諸市の私立学校「小諸義塾」の教師だった時代の教え子で、卒業後も交流を続けた同市西原の歌人土屋残星(ざんせい)(本名・総蔵、1889~1919年)に送ったはがき22枚が、残星のひ孫に当たる女性から同市立藤村記念館に寄託された。師弟愛がにじみ出る内容で、同記念館は10月から一部を展示する。  残星は、藤村が義塾を退職して上京した1905(明治38)年までの3年間、藤村に英語を教わり、藤村が小説「破戒」執筆のため飯山市を取材した際にも同行した。はがきは上京直後から17(大正6)年までのもの。病を患った残星を「どうだね、君、い々(い)方かね、もう大丈夫かね」と気遣い、「君寫眞(写真)をうつしたら一枚送って呉(く)れませんか、せめて寫眞でお目にかゝりたい」と、交情の深さが伝わってくる。  はがきは、佐久市の出版社「櫟(いちい)」編集者だった由井正雪さん(74)=佐久市臼田=が99年、藤村から残星への書簡を本にまとめる希望を持っていた残星の長男で、歌人の克夫さん(2002年に死去)から預かった。  昨年11月に書籍「島崎藤村からの手紙―藤村と残星の師弟愛」が完成すると、由井さんは「研究者やファンの目に触れるよう保存する方がよい」と同館に相談。川原田雅夫館長が米国在住ではがきを相続した残星のひ孫の女性と連絡を取り、女性が今年7月に帰国した際、寄託を受けた。  同館は、10月19日に始まる企画展「島崎藤村とその家族」に合わせて一部を紹介する計画だ。川原田館長は「小諸と藤村の関わりを伝える貴重な資料。みんなに関心を持ってもらいたい」と話している。  寄託されたはがきは、他の藤村から残星への書簡とともに「島崎藤村からの手紙―」に写真で収録している。克夫さん名義の自費出版だが残部があり、櫟(電話0267・63・0018)に直接申し込むと3500円(税、送料込み)で購入できる。(長野県、信濃毎日新聞社)


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