埴科郡坂城町のしなの鉄道坂城駅構内で3日未明にあった最終の上り普通列車と工事用車両の接触事故で、しなの鉄道(上田市)は14日未明、現場で行われた県警の実況見分終了後に記者会見し、工事用車両の作業監督者が車両を移動させる前に最終列車の通過を目視で確認するのを怠っていたと明らかにした。 しなの鉄道の氷熊武文取締役運輸部長によると、作業に向かう工事車両は通常、最終列車の通過を作業員が目視で確認し、その後、しなの鉄道指令室に連絡、承認を得てから車両を移動させる。今回、工事を請け負った会社の作業監督者は、目視の確認、指令室への連絡ともに「忘れてしまった」と話しているという。 作業監督者は事故が発生する約8時間前の2日午後4時ごろ、千曲市内の会社の事務所で、電波を受信して正確な時刻を自動表示する「電波時計」を見て、自分の腕時計が同じ時刻であると確認していた。だが、事故当時は作業監督者の時計は3分進み、終電列車が通過していないのに移動開始予定時刻が過ぎたと思い、工事用車両を移動させたとみられるという。 ただ、しなの鉄道側もこの日の作業工程は把握していたといい、氷熊部長は「自分たちは工事を監督、指導する立場にある。直接的な原因や背景もしっかり検証し、少しずつ改善させていきたい」とした。しなの鉄道は再発防止策を10月下旬にまとめる予定。 実況見分で県警は、事故発生時と同じ場所に工事用車両を停車させたり、普通列車を走らせて事故時と同じ地点から非常ブレーキをかけたりして事故の経緯を確認した。引き続き業務上過失往来危険容疑で調べを進める。(長野県、信濃毎日新聞社)
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