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千曲川「やな漁」できず 台風18号の大雨で仕掛け被害

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 上田市や東御市などの千曲川でアユを捕る伝統漁法「やな漁」の仕掛けが16日の台風18号の大雨による増水で被害を受け、漁ができない状態になっている。漁師たちは「激しい濁流によってアユそのものも多くが下流へ流された」とみており、費用をかけて仕掛けを修理しても仕方がないと言う。千曲川のやな漁は9月上旬から10月中旬までが中心だが、今季は漁本番を前に終えざるを得ない可能性が高くなっている。  「やな漁はもうやめるしかない」。上田市下之条の千曲川で約20年間、やな漁をしてきた地元の中山泉さん(70)は18日、そうつぶやいた。  やなは、木材を組み合わせてすのこ状にした仕掛け。産卵期になって水温が下がると、アユが川を下ろうとする習性を利用して捕らえる漁法だ。岸辺近くに固定してあった中山さんのやなは、台風による増水でこの日も水没したまま。しかも岸は濁流の勢いで削り取られて川幅が広がり、やなの場所へ歩いて行くことができなくなった。  中山さんによると、この場所で20年ほど前に同様の被害があった際は、岸の修復などの工事に実費で100万円ほどをかけたという。「今年も春にやなを補修したばかり。これ以上の出費はできない」と途方に暮れている。  上田小県地域でやなの仕掛けがあるのは、ほかに2カ所。同市小泉で漁をしている近くの石井孝二さん(53)も増水でやなの状況を把握できておらず「壊れていたら補修はできるが、アユがもういなくなっているのではないか」と心配する。東御市島川原で仕掛けている荻原(おぎはら)悟さん(64)=東御市布下=はやなが流されていないことを確認できたものの「今季はアユはほとんどいないと思う」と話す。  上小漁業協同組合(上田市)によると、やな漁では例年、3カ所で計約1・5トンのアユを収穫するが、不漁だった昨季は計0・3トンほど。今季は台風前までに計約0・2トンにとどまった。富岡道雄組合長(65)は「アユは千曲川の代名詞とも言える存在。組合全体で対応を考えなければならない」としている。  また、旧南佐久郡佐久町から小諸市までの千曲川水系を管轄する佐久漁業協同組合(佐久市)によると、管内の千曲川に仕掛けたやなが壊れ、漁ができない状態という。同漁協の中沢重和組合長(71)は「この時期の落ちアユは卵をたっぷり持っていて、脂ものっているので期待していた。濁流に弱いアユは海の方へ下り、今季は十分な漁にならないだろう」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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