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果肉も赤いリンゴは「恋栞」 長野の男性、個人で品種登録

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 長野市赤沼の農業田中弘実さん(53)が、リンゴの新品種「恋栞(こいしおり)」を農林水産省に品種登録した。直径約5センチと小ぶりで、赤とピンクが混ざった鮮やかな色の果肉が特徴。田中さんは「農家も独自性が大切」と考え、10年ほどかけて登録に必要な手続きをしたといい、恋栞を使ったジャムなど加工品の開発に力を入れ始めた。  恋栞は、直径1、2センチほどで果肉まで赤い「紅海棠(べにかいどう)」とほかの品種が自然に交雑してできた。2000年ごろに自身のリンゴ畑にある紅海棠の木の近くに生えたリンゴを育てたところ、数年後に果肉まで赤い直径5センチほどの実がなった。田中さんは周囲の勧めもあって品種登録を目指し、2年ほど前に申請。今月登録された。  県果樹試験場(須坂市)によると、品種登録には接ぎ木をしても品質や特性が引き継がれること、既存の品種と異なることを証明する必要がある。木を増やして葉の形や枝の太さ、花の状態などを細かくチェックして同省に提出し、現地調査を受ける。ブドウや桃などに比べ、発芽から実がなるまで時間がかかるリンゴの品種登録に個人で取り組む人は多くはないという。  田中さんによると、恋栞は酸味が強く加工向き。既にジャムは商品化し、10月に発売予定だ。ジャムにしてもピンク混じりの赤色は変わらず、酸味がきいている。リンゴの発泡酒シードルも開発中だ。  果物に花などを繊細に彫る「フルーツカービング」にも生かそうと考えており、田中さんは「商品化を考えていると、毎年リンゴを育てるのとは全く別の喜びがある」と話している。  「農業はどうしても天候に左右される。独自の品種で、1年を通して売れる加工品は経営的にも強みになる」と田中さん。「個人でも品種登録できることを若い後継者にも知ってもらい、いろいろなことに挑戦しようという気持ちを持ってほしい」と期待している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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