諏訪市の諏訪赤十字病院は諏訪消防署と連携し、救急搬送時のけが人や患者の映像を救急車の車内からインターネット経由で同病院に送るシステムを構築した。12月2日から運用を始める。医師が患者らの状況をいち早く把握して適切な処置につなげ、救命率向上を図る。県消防課によると、こうしたシステムの導入は県内で初めて。 諏訪消防署の救急車3台中2台の車内上部にカメラを設置し、救急隊員のうち1人のヘルメットにも親指大の小型カメラ1台を取り付ける。同病院への救急搬送時、救急車から無線でインターネット接続し、同病院の救命救急センターに映像を送る。 センターでは事故などの際、隊員のカメラを通じ現場の状況を把握。車内のカメラはセンターから上下左右に動かすことができ、画面を拡大して傷口などの様子を見ることも可能。患者本人や親族に確認し、同意が得られない場合は映像を送信しない。 センター長の矢沢和虎(かずゆき)医師(51)は「映像でより正確に状況を把握できるので、輸血の準備や薬剤の用意など、対応がスムーズになる」と期待。諏訪消防署の加賀野井文男署長は「救命率の向上につながればいい」と話す。 システムではまた、同センターの医師が同乗するドクターカーが現場に向かう際、消防署から現場の位置情報を医師のタブレット端末に送り、より早く到着できるようにする。これまでは、現場の位置を示す地図が消防署からファクスで送られるのを待って出動していたという。 機器やシステムの構築費用計約150万円と、毎月の維持費約1万5千円は病院側が負担する。同病院は今後、諏訪地方の他の5消防署との協力も視野に入れるという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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