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作家・辻邦生さんの山荘公開へ 「軽井沢高原文庫」が受贈

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 北佐久郡軽井沢町塩沢湖の文学館「軽井沢高原文庫」は、作家の辻邦生さん(1925~99年)の遺族から、辻さんが亡くなる直前まで過ごしていた同町軽井沢の山荘の寄贈を受けた。書斎に蔵書や書きかけの原稿などが当時のまま残り、高原文庫によると、パリや東京にもあった辻さんの創作拠点の中で生前の様子を伝える唯一の空間。建物を補修し、来年から一般公開する予定だ。  木造2階建て延べ約110平方メートルの山荘は、夫妻同士で親交があった建築家磯崎新さんの設計で、1976(昭和51)年に建築。斜面を利用し、屋根から樹木が突き出ている。辻さんの書斎と、妻で一昨年に亡くなった美術史家の佐保子さんの書斎がそれぞれある。遺族が今夏寄贈した。  辻さんは山荘を、作家永井荷風の住まいだった「偏奇(へんき)館」をもじり、「偏奇の巣」と命名。ギリシャ語っぽく「ヘンキーノス」と発音していたと、佐保子さんはかつて語っていた。  軽井沢高原文庫は敷地内に、ともに作家の堀辰雄や有島武郎らの別荘を移築保存している。辻さんの山荘は、地形を生かした構造でもあり現地で保存する。周辺に駐車場所はなく、公開の方法や時期は検討中。朗読会や、辻さんが散歩した一帯を歩きながらの見学会なども考えている。  高原文庫の大藤(おおとう)敏行副館長(50)は「夫妻は亡くなる直前まで訪れていて、山荘に特別な思いがあったと思う。辻文学に理解を深め、文学者の創作と生活空間を伝える貴重な建物として守っていきたい」と話す。(長野県、信濃毎日新聞社)


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