県内主要11金融機関の2013年9月中間期の決算・経営指標が27日出そろった。前年同期と比べ市場環境が大きく好転したことを背景に、株式売却益の増加など有価証券関係の損益が改善。いずれも最終黒字を確保し、うち9機関が増益となった。ただ貸出金の利回り低下で利ざやは伸び悩み、企業の設備投資などの資金需要が回復するか先行きには慎重な見方が残る。 上田信用金庫(上田市)の純利益は5億3700万円で、前年同期の2・5倍。有価証券の運用状況が好転し、利息配当金が伸びたことに加え、株式売却益も増加した。松本信用金庫(松本市)も株式売却益の増加などで純利益は2・4倍となった。 市況の改善が好決算に結び付いた格好だが、貸出金利は低下傾向で、各金融機関とも利ざやを得にくい環境が続く。 八十二銀行(長野市)の純利益(単体)は、前年同期比74・5%増の153億4600万円。金利変動リスクを避けるため比較的長期の国債を売却したことなどで有価証券関係の損益が改善した。ただ、利ざやの縮小などで資金利益が減り、本業のもうけを示すコア業務純益は143億6700万円と7・1%減少。竹鼻賢一常務は「日銀も金利を低く抑えようとしており、貸出金の金利収入が大幅に増えるとは見込みにくい」とする。 9月末の貸出金残高は8機関で3月末より増加した。しかし、資金需要の回復の手応えは乏しい。松本信金は「リーマン・ショック以降、設備投資をする場合も、できるだけ手持ちの資金を活用しようとする傾向が強い」(横沢達郎常勤理事)とみる。 長野銀行(松本市)の中條功頭取は「設備投資が増えているという状況にはまだない。国内全体は景気が回復していると言われるが、県内は果たしてそうなのかなと思わざるを得ない」と慎重な見方を示している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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