参院で審議が始まった特定秘密保護法案について、信濃毎日新聞は阿部守一知事と県内77市町村長を対象にアンケート調査を実施、27日結果をまとめた。77市町村長のうち15人が「反対」で、「賛成」は5人にとどまった。約31%の24人は自治体への影響が「あると思う」と回答。約82%に当たる63人は「今国会での成立にこだわらず慎重に審議すべきだ」とした。特定秘密の範囲が明確でないことや情報公開の後退を懸念する意見が目立ち、法案の今国会での成立を急ぐ政府・与党との差が際立つ結果となった。 法案が成立した場合、国民の知る権利や言論の自由など市民生活に影響があると思うかどうかについては、約43%の33人が「あると思う」と答え、「あると思わない」の5人を大きく上回った。 法案に反対する首長の理由を見ると、「特定秘密の対象範囲があいまい。時の政府の解釈により拡大する懸念がある」(足立正則・飯山市長)との意見や、行政の情報を得るのは「国民の基本的な権利」(唐木一直・上伊那郡南箕輪村長)との指摘があった。菊池幸彦・南佐久郡南牧村長、茂木祐司・北佐久郡御代田町長、岡庭一雄・下伊那郡阿智村長は「廃案にすべきだ」とした。 法案に賛成した5人のうち、3人は「慎重に審議すべきだ」と回答。小林一彦・諏訪郡富士見町長は「国益を守るために必要」として今国会での成立を求めた。高野忠房・東筑摩郡麻績村長は選択肢から選ばず「今国会で成立させるべきだとまでは言わないが早期成立は必要」とした。 阿部知事は法案の賛否と扱いは選択肢から選ばず、「十分かつ慎重な議論が必要」と回答。市民生活と自治体への影響は「何とも言えない」とし、判断を保留した。 牧野光朗・飯田市長は回答できないとし、北村政夫・小県郡青木村長も法案の賛否は「選択肢にない」とした。中村武雄・東筑摩郡朝日村長は法案の扱いについて「判断できない」とした。 調査は27日までの2日間、本支社局を通じ、面接や電話での取材、質問用紙への記入を通じて実施した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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