雪崩の発生を予見できたかどうかが争点となった裁判で、地裁松本支部(二宮信吾裁判官)は2日、業務上過失致死の罪に問われた元愛知大非常勤講師、沢田和明被告(65)=大津市=に禁錮3年、執行猶予4年(求刑禁錮3年)の判決を言い渡した。北安曇郡小谷村の栂池高原スキー場で2008年2月、同大の実習中にともに当時20歳の女子学生2人が雪崩に巻き込まれて死亡した事故で、指導経験や事故が起きた林道コースが閉鎖されていたことから、引率していた被告は雪崩を予見できたと認定した。 判決では、被告はスキーの初心者・初級者の指導を担当しており、引率の安全基準などの知識を持つことが義務付けられる―と指摘。その上で、林道コースの閉鎖を告げる場内放送を聞き、コースの閉鎖措置が取られていることを見たことなどから、「雪崩やその影響でスキーヤーに危険が及ぶ恐れを予測・予見することが容易にできたはずだ」とした。 過失の内容・程度、2人死亡の結果に照らし、求刑は相当だとする一方、被害者1人と大学の示談が成立し、被告が社会的制裁を受けたことなどを酌んで執行猶予とした。 長野地検の小池充夫次席検事は「妥当な判断」、被告の代理人は「指導者に非常に重い注意義務を課すもので納得できない。控訴は本人と相談する」とした。 判決によると、被告は同スキー場で学生7人を指導中、雪崩発生の危険があることから閉鎖された林道コースに立ち入らないようにすべき注意義務を怠り、学生にネットを倒すなどして進入するよう指示し、雪崩で女子学生2人を死亡させた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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