Quantcast
Channel: 信濃毎日新聞
Viewing all articles
Browse latest Browse all 7401

厚年基金の「代行割れ」 基金の負担軽減分を年金本体で穴埋め 厚労省が試案

$
0
0

 県内などの厚生年金基金(厚年基金)で積立金不足が国から預かって運用している公的年金にまで食い込んだ「代行割れ」を起こしている問題で、厚生労働省は2日、基金側の穴埋め負担に上限を設ける厚年基金制度の改革試案を公表した。上限を超えた分は会社員の公的年金である厚生年金本体の保険料で賄う方針。積み立て不足に陥った基金の債務軽減を図る狙いだが、基金と関係ない会社員らにも負担を回す形となるため、適用の条件や範囲を限定する。  同日始まった社会保障審議会年金部会の専門委員会で示した。国は10年間で制度を段階的に縮小・廃止する方針で、年内にも正式案をまとめ、来年の通常国会に関連法案を提出する。  企業年金の厚年基金は、AIJ投資顧問(東京)による年金資産消失問題や運用難で財政が悪化。ことし3月末時点でほぼ半数の287基金が代行割れに陥っており、不足総額は1・1兆円に上る。県内に事務所を置く10基金は、昨年3月末時点で4基金が代行割れとなっており、現在はAIJ問題などの影響でさらに拡大しているとみられる。  国は財政が悪化した基金に解散を促す方針だが、解散には加入企業による不足金の返還が必要。試案は、分割納付できる現行の特例解散制度に「新特例」を加える内容で、返還額に基金加入企業が経営を続けながら支払える程度の上限を設定するか、現在最長15年の分割納付期間をさらに延長するかの2案を示した。  上限設定の対象は「基金全体からみて標準的な資産運用」で生じた不足分に限定。標準的運用なら確保できていたと考えられる資産の「一定水準額」を設定し、それを上回る不足分の返還負担には上限を設けるが、満たない部分は加入企業の全額負担とする。水準の詳細は今後、専門委員会で検討する。  新特例の適用対象については、掛け金の引き上げなど財務内容の改善努力や高齢化などで年金支給負担が重くなっているなどの条件を設定。条件に合うかどうかを調べる審査会も設けるとした。厚生年金本体の保険料で賄う額は未定だが、数百億円に上る可能性もある。  また、基金を解散しやすくするため、分割返済中に加入企業が倒産すると残りの企業が倒産した会社の残金も支払う「連帯債務」の仕組みを廃止。代議員会による解散同意の要件も現行の4分の3以上から3分の2以上に緩和する方針だ。(長野県、信濃毎日新聞社)


Viewing all articles
Browse latest Browse all 7401

Trending Articles



<script src="https://jsc.adskeeper.com/r/s/rssing.com.1596347.js" async> </script>