JR東日本は29日、カード型のIC乗車券「Suica(スイカ)」を来年4月から県内で初めて、中央東線の富士見、茅野、上諏訪、下諏訪、岡谷、塩尻の各駅、小海線野辺山駅、篠ノ井線松本駅の8駅で使えるようにすると発表した。ただ、該当の8駅を含む東日本管内の県内駅ではスイカの販売や払い戻しなどは当面行われず、県内在住者にとってのスイカは依然として遠い存在になりそうだ。 同社広報部によると、首都圏を中心とする利用可能範囲は現在、県内の最寄りでは中央東線韮崎駅(山梨県韮崎市)までが対象で、スイカで乗車し、隣接する範囲外の駅で降りる客を想定して県内の8駅を選んだという。対象8駅で乗り降りするスイカの定期券も利用できない。 スイカの販売が行われないことなどについて同社広報部は「ご迷惑をお掛けするが、ご理解いただきたい」としている。8駅で利用するには「従来の販売駅でスイカを購入するか、(携帯電話を使う)モバイルスイカなどの利用をお願いしたい」(長野支社)という。 冨田哲郎社長は6日の記者会見で、県内へのスイカ導入について「北陸新幹線が通る駅はなるべく早く導入したい」と述べたが、広報部は利用可能範囲を今後広げるかは「具体的な予定は決まっていない」としている。 同社は来年4月の消費税増税に伴う運賃値上げについて、スイカ利用では1円単位とする一方、券売機による現金支払いでは10円単位にする予定。このため、スイカ利用が可能になる8駅で乗り降りする場合には、同じ区間で異なる運賃が混在する「二重運賃」となる可能性がある。(長野県、信濃毎日新聞社)
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