2015年春に長野市で開かれる善光寺御開帳を支える組織「善光寺御開帳奉賛会」の設立総会が29日、市内のホテルで開かれた。御開帳直前の同年3月の北陸新幹線金沢延伸を控え、過去最多の673万人を記録した前回09年を上回る「700万人超」(北村正博奉賛会会長=長野商工会議所会頭)の誘客を目標に、広報や誘客活動に取り組むことを決定。さらに15年御開帳後も奉賛会は解散せず、次々回御開帳でも継続的に活動することとした。 奉賛会は毎回ごとに設立、解散するのが近年の慣例となっており、回をまたいで活動していくのは異例。同じ組織にしたままにすることで、誘客などのノウハウを蓄積し、7年目に一度の御開帳の効果を最大限に引き出す狙いがあるようだ。 奉賛会は長野商工会議所、善光寺、市、長野商店会連合会などで構成し、広報や誘客活動、期間中の案内所設置などで御開帳を支援する。総会には構成団体や自治体担当者など約170人が出席し、総額4100万円の予算や事業計画を決めた。誘客キャラバンでは、金沢延伸を念頭に、特に北陸、関西方面への働き掛けを強化。PRのポスター、パンフレットの作成、ホームページの開設のほか、フェイスブックの活用なども盛り込んだ。 総会で北村奉賛会長は「御開帳は多数の参拝客が訪れ、地域活性化の起爆剤として期待される」とし、「県内の宿泊を促し、近隣観光地へも周遊していただけるよう工夫していきたい」と述べた。善光寺の若麻績敏隆(びんりゅう)・寺務総長は「(信仰者の集まりの)『講中(こうじゅう)』が少なくなり、個人という形でのお参りになってきている。皆さんに満足していただけるよう考えていかなければいけない」と述べた。 この日、善光寺仲見世通りの土産店の男性店主は「交通の便が良くなる半面、日帰りの参拝客が多くなるかもしれない。(来年4月の)消費税増税で厳しい面もあるが、喜んでもらえるよう応対したい」と話していた。 15年御開帳は4月5日から5月31日までの57日間。御開帳では、秘仏である本尊の身代わり「前立(まえだち)本尊」を宝庫から本堂の秘仏の前に移す。前立本尊は本堂前に建てられる回向(えこう)柱と綱で結ばれる。参拝客が回向柱に触れれば、本尊に触れるのと同じ御利益があるとされている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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