飯田市の山間部にある千代小学校の1982(昭和57)年度の卒業生が3、4の両日、30年前に卒業記念で描いたプールの壁画を現在の6年生と一緒に塗り直した。卒業生の1人で、地元で建設会社を営む榊山(さかきやま)健二さん(42)が、長男の敬斗(けいと)君(12)が6年生になったのをきっかけに学校側や82年度の卒業生に呼び掛けて実現。県外からも卒業生が集まり、母校で世代を超えた交流を楽しんだ。 作業には6年生9人全員に加え、82年度の卒業生29人のうち3日は16人、4日は17人が参加。両日とも当時の担任だった本堂善夫さん(84)=下伊那郡高森町=も会場を訪れて作業を見守った。地元を離れて暮らす卒業生の中には、実家を通じてペンキ代をカンパした人もいた。 壁画は高さ約4メートル、幅約10メートルの大きさ。全体に色あせ、塗料の剥げ落ちた所が目立っていたことから、卒業生と児童たちは全面を塗り直した。高い部分は榊山さんが用意した足場に上って作業を進めた。 この壁画は、長野県に海を作ろう―との思いで描かれたという。今回の作業でクジラやカニなどが再び鮮やかな色で浮き上がった。6年生が用意した下絵を参考にしながら新たにイルカやウミガメ、エイを描き加えた。 東京都荒川区から参加した綿貫郁子さん(41)は「この壁画はとても思い出に残っている。子どもたちと一緒に塗り直せて良かった」。エイを描いた6年生の藤本舜平(しゅんぺい)君(11)は「自分もまた卒業後に塗り直してみたい」と話した。榊山さんも「多くの人と壁画を塗り直すことができてうれしい。子どもたちが大人になっても取り組んでほしい」と語った。(長野県、信濃毎日新聞社)
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