飯田市座光寺小学校3年の近藤響(ひびき)君(9)が、同市千代の約1750万~1800万年前の地層から、タカアシガニの仲間で同地区だけで見つかっている絶滅種「チヨガニ」のものとみられる爪の化石を発見した。カニの化石に詳しい千葉県立中央博物館(千葉市)の加藤久佳・主任上席研究員(49)によると、チヨガニの成体の爪と確定すれば国内初の発見。タカアシガニの進化の研究に役立つとみられる。近藤君は「貴重なものを発見できてとてもうれしい」と喜んでいる。 今年の夏休みから千代地区の米川峠に化石の発掘に通っていた近藤君は、9月ごろに母親と泥岩を採集。自宅で金づちで割ったところ、長さ約3センチの化石が出てきた。当初は貝の化石かと思ったが、形状が異なるため、10月に市美術博物館に持ち込んだ。 同館学芸員の小泉明裕さん(52)は、カニの右のはさみの可動部の先端と判断し、内側がさじ状に広がっているなどの特徴からタカアシガニの仲間と鑑定。発見場所などからチヨガニの可能性が高いとみている。脚を広げた大きさは1~1・5メートル程度とみられる。 同地区では戦後にカニの幼体の化石が見つかり、1957(昭和32)年にチヨガニと命名された。65年には脚も見つかったが、チヨガニと特定するには至らなかった。 現在、生息しているタカアシガニは1種だが、絶滅種としてチヨガニなど二つの化石が見つかっているという。 市美術博物館で7日に開かれる第37回下伊那地質研究会発表会で、小泉さんが今回の発見について報告する。さらに加藤研究員に化石を提供し、詳しく調べてもらう予定だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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