学校法人「才教学園」(松本市)が教育職員免許法に違反し、経営する才教学園小、中学校(同)で多数の教職員に免許外の教科を教えさせるなどしていた問題で、県は5日午後、同法人に2008~12年度に支出した補助金計4億9564万円余のうち、7100万円の返還を命じた。 執行停止していた本年度分の補助金については、違反状態の是正、適正な教育体制の構築、経営体制の刷新が図られたとして停止を解除し、適正にするまでの違反分を算定して減額した上で来年3月に支給する。 才教学園が05年4月の開校以来、今年8月に問題が発覚するまでの本年度1学期までの間、担当免許を持たないのに授業をしていた教員らは延べ67人。県は返還請求権の時効に当たらない08年度から5年分について返還額の算定対象とし、この5年間では延べ38人。違反教員らの人件費に充てられた補助金を該当教員の総勤務時間と違反授業時間数から割り出し計2899万円余と算定した。 創設者の山田昌俊・前理事長兼校長と、長年教員配置担当をしていた松山治邦・元事務長兼教頭については「法違反の認識を持ちながら教員配置、授業編成をしていた」として、賞与(ボーナス)も返還額の算定対象に含め、計3218万円余を請求した。このほか、少人数教育などを評価して加算する特別補助なども、違反教員が恒常的に関与している場合は返還対象とし、計981万円余求めた。県への納付期限は今月25日。 違反を見逃していた県は、再発防止策として、知事部局である私立学校担当部署に教育職員を配置し、私学からの相談や指導力向上を図る方針。学校法人設立後の調査人員を現行の2人から3人に増やし、学校現況調査の記載内容の徹底、教育免許の確認の徹底など事務改善を図る。 松本署などは11月6日、教育職員免許法違反の疑いで、山田氏と松山氏を書類送検した。学校法人「信学会」(長野市)が支援に乗りだし、学園は10月11日の理事会で、両氏らが退任して経営陣を刷新。信学会中信本部長の小松崇氏が新たな理事長に就き、学園の正常化を図っている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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