上伊那郡箕輪町の古田地区に伝わる古田人形芝居の7日の定期公演(箕輪町教委主催)で、保存会長の柴登巳夫(とみお)さん(69)の孫、七海さん(10)=箕輪西小5年=が、義太夫節を語る保存会の太夫としてデビューする。同じ太夫として初共演する登巳夫さんは「初めての経験でお互いに緊張している。感情移入ができるようになってほしい」と話し、世代を超えた稽古に熱を入れている。 演目は母娘の情愛を描いた「傾城(けいせい)阿波鳴門」の「順礼歌の段」で、七海さんは娘のおつるの声と歌を担当する。公演には、箕輪西小や箕輪中の児童生徒も出演し、それぞれの演目を披露する。 七海さんは登巳夫さんに誘われ、約2年前から自宅などで練習してきた。義太夫節独特の関西なまりやせりふ回しが難しいと感じる。所属する箕輪西小古田人形クラブは定期公演で「傾城阿波鳴門」を口語訳した演目を毎年披露しており、七海さんは昨年、太夫を務めた。保存会の太夫は「(口語訳と)全然違うので難しい」としつつ、「これまでの経験を生かせるといい」と話している。 保存会員は現在20人。高齢化や仕事の都合で15人ほどが活動し、うち太夫は3人だけだ。後継者の確保が課題になっており、登巳夫さんは「太夫だけは何年も練習しなければならない。今後続いてくれる人がいればいい」と期待している。 定期公演は午後1時から町文化センターで。入場無料。(長野県、信濃毎日新聞社)
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