長野大(上田市下之郷)企業情報学部の田中法博(のりひろ)教授(43)=情報工学=のゼミが、東京国立近代美術館工芸館(東京都千代田区)で所蔵、展示するタカの彫刻をコンピューターグラフィックス(CG)で再現した。金属を細かく彫った線や立体感、光の反射などを精密に表現。マウスを動かせば、画面上で上下左右に小刻みに回転できる。今週末をめどに本物と並べて工芸館で展示を始める。 田中教授は美術品のCG化について「一般公開されにくい作品も気軽に鑑賞できる」と説明。手を触れずにさまざまな角度から見られるので、研究にも役立つと指摘する。 CG化した作品は、彫刻家鈴木長吉(ちょうきち)(1848~1919年)が1893(明治26)年に発表した「十二の鷹(たか)」。タカ12羽が止まり木に並んだ姿を表している。同ゼミは工芸館関係者の依頼で、顔を下に向けて羽を左右に広げている1羽を再現した。 同教授と、ゼミ生でともに3年の松田宗(そう)さん(22)と吉岡勇我(ゆうが)さん(21)は10月上旬に工芸館を訪れ、レーザー光線を当てる機械で作品の輪郭を測った。機械を載せる三脚の向きや高さ、機械の角度を変えながら、測定を繰り返した。表面の色や形は部分ごとにカメラで撮影した。 大学に戻り、測定データと撮影画像を基に、同ゼミが開発したシステムを使ってCG化。松田さんは「作りが細かいので難しかったが、出来栄えは良いと思う。たくさんの人に見てほしい」、同教授は「測定技術と精度を高め、まずは『十二の鷹』全てを完成させたい」と話す。 CGは、工芸館の担当者がいる時間帯に随時公開する。問い合わせは工芸館(電話03・5777・8600)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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