厚生労働省は10日、アスベスト(石綿)による健康被害について、2012年度に県内で労災認定を受けたり、労災認定の時効(死亡から5年)の後に支給される「特別遺族給付金」の支給対象になったりした11人が働いていた11事業場を公表した。うち初めて労災認定や遺族給付の対象者が出たのは長野、松本、岡谷、飯田、駒ケ根、大町市の8事業場。 厚労省は該当事業場で働いた経験がある労働者や周辺住民に健康状態を確認してもらう目的で05年度から毎年、事業場を公表している。12年度は全国の1048事業場を公表し、初公表の事業場は810だった。 県内11事業場の内訳は、建設業が7事業場、電力会社の発電施設や産業製品を製造する工場など建設業以外が4事業場=表。 建設業では、6人が労災認定され、主に石綿を含む建材などを使う建築現場での作業経験があった。内訳は中皮腫5人(うち死亡2人)、石綿肺1人。労災認定の時効後に支給される給付金の対象は中皮腫1人。 建設業以外では、4人が労災認定され、発電施設での作業経験や石綿の吹き付け作業の経験などがあった。内訳は中皮腫3人(うち死亡1人)、石綿肺1人。いずれの事業場も現在は、石綿を含む建材を撤去したり、飛散防止対策をとったりしている。 11事業場のうち初公表の中部電力長野支店飯田電力センターでは、06年に退職した60代男性が労災認定された。同支店によると、主に飯田電力センター管内の水力発電所や変電所の補修や運転業務に携わり、昨年7月に中皮腫で亡くなった。かつては石綿を含む建材を使用していたが、いつどこで触れたかは不明とした。このほか取材に対し、認定者の勤務時期が古く確認できない、既に工場がないと回答する事業場もあった。 厚労省は11、12の両日午前10時から午後5時まで、公表した事業場や労災補償制度などについての相談(電話03・3595・3402)を受け付けている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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