飯田市南信濃で野生獣を扱う肉店が、インターネットを通じて販売しているニホンジカの角やイノシシの牙への関心が高まっている。2010年にネット販売を始めて以降、販売数は約3倍に。来年はイノシシの牙で作ったアクセサリーも売り出す予定で、社長の鈴木理(まさし)さん(52)は「ネット販売で角や牙の新たな需要を知ることができた。命を頂いた動物を余すことなく生かしたい」と話している。 同店は1957(昭和32)年創業の「肉のスズキヤ」。飯田下伊那地方の猟師から鹿やイノシシ、熊などを仕入れ、肉を販売している。 鹿の角などの販売を始めたのは70年ごろ。当時は日本刀などを置く「刀掛け」や、剥製に使われるケースが多かった。口コミで販路が広がり、アクセサリーを扱う業者などにも販売するようになったという。 野生獣への関心が高まったこともあり、余すことなく活用するためにネット販売を始めた。すると、コートのボタンやバックの留め具などの原料として兵庫県の業者から注文を受けた。大阪府の業者からはシャンデリアの材料として、鹿の頭骨や角を求められた。ナイフの柄やアクセサリーの材料としても注文が寄せられるようになったという。 需要の高まりを受け、同店は一般の人にも野生獣に親しんでもらおうと、社員の知人の歯科技工士に協力してもらい、イノシシの上顎の牙でアクセサリーを作ることにした。来年1月ごろから、店頭やホームページで販売する予定だ。価格は1個3千円程度を見込んでいる。問い合わせは肉のスズキヤ(電話0260・34・2222)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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