北安曇郡白馬村が、村税滞納者から差し押さえた村内2スキー場の土地を、9月から今月上旬に公売にかけていたことが14日、分かった。村税務課によると、スキー場の土地を公売にかけたのは初めて。うち一つのスキー場の土地は地元のスキー場関係者が落札、もう一つは入札者がいなかった。村は今後も税収確保のためスキー場の土地の公売に臨む方針を示しているが、スキー場関係者らは、落札者の対応によってはスキー場運営に影響が出る可能性もあると懸念している。 公売にかけた土地は、白馬岩岳スノーフィールド(白馬岩岳スキー場)内の4カ所と、白馬五竜スキー場内の7カ所。面積は各箇所500平方メートル~9千平方メートルで、スキー場全体に占める割合はわずかだが、コース内の土地もある。地元の計七つの宿泊業者が所有していたが、固定資産税など村税の滞納で村が差し押さえ、入札見積価額を130万円~390万円として、インターネットオークションで公売にかけた。 白馬五竜スキー場の土地は、同スキー場「いいもりゲレンデ」を運営する「大糸」のグループ会社が3カ所、「とおみ」「アルプス平」の両ゲレンデを運営する「五竜」が2カ所を落札。残り2カ所は、地権者に提供されるリフト優待券などを目的とした県外のスキー愛好者2人が落札した。白馬岩岳スキー場の土地には入札者がおらず、公売はいったん終了した。 大糸は取材に「営業に影響があれば取り返しがつかない」と説明。五竜の駒谷嘉宏社長は「以前、地元住民に購入してもらった土地だったので買い戻した」とし、一般の人がゲレンデの一部を落札しても利点は少なく「素性の分からない落札者が現れる可能性は低い」と話す。白馬岩岳スキー場を運営する「白馬観光開発」は予算の都合などで今回の入札は見送ったが、「第三者が落札する可能性はある」として対応を検討している。 白馬村では、バブル期や1998年長野冬季五輪の好景気にスキー客の増加を見込み、過大な設備投資をした宿泊業者も多い。その後、スキー観光の低迷が響き、村税累積滞納額は7億9千万円余(昨年度末)。県市町村課によると、県内市町村で8番目、村単位では最多。昨年度末の徴収率(課税額に対する徴収した額の割合)64・6%は県内で2番目に低い。 村税務課は「転売されるなどしてスキー場の運営に影響が出るという心配は理解できるが、換価できるものは差し押さえるしかない。スキー場も特別扱いはできない」と説明。今回不調だった白馬岩岳スキー場のほか、八方尾根スキー場の土地の公売も検討している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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