県内の小中学生は、握力など基礎体力は全国平均より優れているものの、敏捷(びんしょう)性や持久力に欠ける傾向が改善されていないことが、文部科学省が14日に結果を公表した2013年度全国体力・運動能力、運動習慣等調査(全国体力テスト)で浮き彫りになった。調査は小学5年生、中学2年生が対象で、握力は小5男子が全国2位、女子が10位だったが、中2の反復横跳びは男子が44位、女子が46位と最下位に近い。専門家は「敏捷性は幼児期から体系的に伸ばす工夫が必要」と指摘。県教委は「原因を詳しく分析し対策を考えたい」としている。 種目は握力、上体起こし、長座体前屈、反復横跳び、50メートル走、立ち幅跳びなど8種目。8種目の数値を得点化した体力合計点(80点満点)の順位は、小5男子が昨年より10位上昇の19位、小5女子が7位下落の30位。中2男子は2位下がって24位、中2女子は5位上がって39位。県内の平均点は小5男子54・1点(全国平均53・9点)、小5女子54・4点(同54・7点)、中2男子41・9点(同41・8点)、中2女子47・0点(同48・4点)だった。 種目別だと、県内で全国上位となったのは小学生の握力のほか、男子のソフトボール投げ(小学生)とハンドボール投げ(中学生)など、基礎体力が必要な種目が中心。小中の長座体前屈、小学生の立ち幅跳びも10位台だった。低かったのは中学生の反復横跳びのほか、小中学生の上体起こしなど。20メートル幅を何度も往復して持久力をみるシャトルランや、持久走も中学生の男女で順位が低かった=表参照。 県内の40代の保健体育科教諭は「県内は山間地が多く登下校などで基礎体力はつきやすいが、敏捷性は小学生のころまでに専門的に教えないと上達しない」とし、県内小学校に保健体育の専科を増やすべきだと指摘。女子が小中とも全国平均点を下回ったことについては、松本大(松本市)の岩間英明准教授(54)=体育科教育学=は「県内女子中学生の運動系部活動の加入率が全国より低いことが原因の一つではないか」とみている。 全国体力テストは08年度に全員参加方式で始まり、10年度から抽出方式に変更。今回は4年ぶりに全員対象に戻り、参加率も小学校98・4%、中学校95・0%と初めて9割を超えた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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