県内の市町村や企業団などの水道事業者の6割余が水道施設を利用した小水力発電の導入に関心を持っていることが5日、県環境部が初めて実施した調査で分かった。一方、導入への課題として採算性や設置後の維持管理などへの不安の声も多いことから、県水大気環境課は、事業者対象の勉強会を開くなど導入を支援していく方針だ。 調査は10月、県内110の水道事業者を対象に実施、同月末までに79事業者から回答を得た(回収率71・8%)。「興味があり、導入したいと考えている」との回答が上田市や茅野市、下伊那郡売木村、県企業局など7事業者(8・9%)。「興味はある」ものの、「導入に対する知識がない」「導入に適した場所がない」との回答はそれぞれ22事業者(各27・8%)に上った。 発電した電気の利用方法(複数回答)については17事業者が「売電して利益を得て、施設維持費に充てる」とし、15事業者が「自家消費」、14事業者が「災害用の非常用電源」とした。村内の浄水場で発電し、主に災害時に浄水場の非常用電源として活用を期待する売木村産業課は「村にとって欠かせない主要な浄水場を災害時にも動かすため、施設内の水の流れを使って発電したい」とする。 一方、導入への課題(複数回答)については、51事業者が「費用対効果が分からない」を挙げ、最多。次いで「設置後の維持管理・保守点検」が47事業者だった。県水大気環境課は「水道事業は独立採算で、コスト面への意識が強い」とみる。 水道施設を使った小水力発電の普及に向けた県への要望(自由記述)では、導入に必要な情報やマニュアルの提供、財政支援、モデル事業の実施、先進事例を学ぶ勉強会の開催、河川法の水利権許可手続きの簡素化―などが挙がった。 県は今後、小水力発電に詳しい池田敏彦・信大特任教授=流体工学=らの協力を得ながら、支援などの環境整備を進める考えだ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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