伊那市高遠中学校の全校生徒157人が、東日本大震災で被災した宮城県石巻市の仮設住宅に住む人たちに向けたクリスマスカードを作った。震災1年後に生徒の有志が仮設住宅を訪ねて交流が始まり、被災地の現状や課題を学んできた。「被災した人の心に寄り添いたい」との思いをカードに託し、18日に発送する。 カード作りは生徒会役員の3年生が呼び掛けた。はがき大の二つ折りで、開くとメッセージが現れる。クリスマスツリーをかたどった仕掛けが飛び出すものも。役員は、1、2年生に被災した人の気持ちを考えて言葉を選ぶよう説明したという。 当時1年生だった現在の3年生7人を含む10人が、昨年3月に石巻市を訪問。仮設住宅「桃生(ものう)中津山団地」で住民の話を聴いたり、沿岸部で子どもたちと遊ぶボランティア活動に参加し、全校生徒に体験を報告した。 生徒会が高遠城址(じょうし)公園の観桜期に設ける売店では昨年と今年、仮設住宅の住民が作った携帯ストラップやたわしなどを販売。売り上げを被災地支援に充てた。3年生は震災関連の新聞記事を切り抜いて課題を話し合う授業を1年の時から受けており、今年9月の文化祭では「震災関連死」について発表した。 生徒会広報委員長の伊東実春さん(15)は昨年3月のボランティアに参加。仮設住宅のお年寄りと折り紙をし、「つらさを本当に理解することは難しくても、話を聴くことはできる」と感じたという。カードにはリボンや鈴などの折り紙を貼り、「お体に気をつけてください」と書いた。 生徒会は11月、同団地自治会にクリスマスカードの送付を提案。95世帯に送ることになった。仮設のパン店や子どもの支援団体にも送る。生徒会長の山田流星君(15)は「月日がたっても心の痛みを抱える人がいる。交流を後輩に引き継ぎ、被災した人に寄り添う気持ちを伝え続けたい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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