長野労働局は17日、過酷な働かせ方で若者らを使い捨てる「ブラック企業」対策として、労働者などからの情報を基に選んだ県内113の企業や事業所に対して9月に実施した監督結果を発表した。長時間労働や残業代不払いなどの法令違反があり、同労働局が是正勧告したのは全体の89・4%に当たる101の企業・事業所。全国平均(82・0%)より7・4ポイント高かった。 業種別で是正勧告が最も多かったのが、製造業の43(監督実施数は48)。小売業などの商業が21(同25)、飲食などの接客娯楽業が8(同8)と続いた。 同労働局監督課は、県内企業の違反状況について「一部の企業では景気が上向き仕事量が増えても、従業員を増やさない傾向にある。その分、今の従業員に長時間労働などの負担を強いている」と説明。全国平均を上回った理由について「県内の主力産業である製造業で違反が多いことが影響している」としている。 是正勧告を受けた企業・事業所のうち、労使で決めた残業時間の上限を超えて働かせるなどの労働基準法違反があったのは57・4%の58。このうち、厚生労働省が過労死の認定基準としている、時間外労働月100時間を超えて働いた人がいるのは20。残業代不払いによる同法違反は31だった。 長野労働局監督課によると、書面上は代休扱いとなっている日に実際は労働させていた違反が目立った。是正勧告を受けた企業・事業所は所定の期間内に労働局に是正状況を報告する必要があるが、同課は「既に是正報告の期限が過ぎて督促した企業もある」。今後、是正しない場合は、労働基準法違反容疑などで摘発することもあるとしている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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