室町時代の信濃守護で、後に松本城主を務めた小笠原氏の館があったとされる松本市特別史跡の井川城跡(井川城1)で、市教委は18日、2014年度も発掘調査を続け、県や国の史跡指定を検討していることを明らかにした。幹や枝にとげがある落葉高木サイカチの花粉が大量に見つかるなど、中世の城館の実態を知る上で重要な成果が得られ、注目度が増している。 市教委は来年度、城跡の範囲を確認する調査を進め、専門家による調査指導委員会を設置する考え。市は来年度当初予算案に約2100万円を計上する方針だ。 井川城跡は1967(昭和42)年、文献や伝承に基づき、現在の発掘現場の一部が市特別史跡に指定された。発掘は複数の地権者の理解を得て進めており、市教委は「最低でも市史跡の範囲を広げ、できれば県や国の指定を目指したい」とし、地権者に理解を求めていく方針だ。 市教委によると、井川城は信濃守護に赴任した小笠原貞宗(1292~1347年)が築いたとされる。これまでの調査で、中世の大規模な造成工事の跡や、防御用に植えたと考えられるサイカチの花粉などが見つかっている。担当者は「市民の誇りとなり得る重要な文化財を保護し、地域の歴史を後世に伝えていく」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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