「前方後円墳」とみられていた飯田市松尾上溝の「羽場獅子塚古墳」が「前方後方墳」である可能性が高まったことを受け、発掘調査した同市教育委員会は21日、現地見学会を開いた。飯田下伊那地方で確認された前方後方墳は同市松尾代田の県史跡「代田山狐(きつね)塚古墳」しかなく、今後の調査が注目されることもあって約50人が参加した。 前方後方墳は正四角形や長方形の墳丘からなる。市教委によると、羽場獅子塚古墳は周溝を含めた長さが約40メートル、墳丘の後方部の幅は約20メートルとみられる。 調査を担当した市教委の渋谷恵美子さん(50)は、墳丘の後方部で石が直角に積まれた場所が見つかったことなどを説明。前方後円墳であれば弧を描くように並べられる、とした。また、墳丘中段に平らな部分を設け、上段に人の頭ほどの石、下段に拳大の石を並べ、古墳を立派に見せているのも特徴だとした。 渋谷さんは「祭られた人の力の大きさ、これだけの石を集めて古墳を造り上げることができた地域の力を見ることもできる」と解説した。 見学した同市時又の松尾勝巳さん(71)は「貴重な古墳だと確認されたのはうれしい。できた時代なども知りたい」と話した。市教委は古墳が造られた時代や、古墳内の埋葬施設の場所などを明らかにする調査を進める予定だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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