東京都大田区の町工場が中心になって作った「下町ボブスレー」1~3号機が22日、長野市浅川のスパイラルで全日本選手権に出場した。下町ボブスレーは初の国産で、来年2月のソチ冬季五輪(ロシア)では日本代表に採用されなかったが、関係者は2018年平昌(ピョンチャン)冬季五輪(韓国)に向けて再スタートしたばかり。そり競技を底上げし、スパイラルの存続や活性化を願う地元の「浅川スパイラル友の会」会員が応援に駆け付け、町工場の人たちと交流した。 ボブスレー開発プロジェクトを進める大田区産業振興協会や町工場の約40人は、バスでスパイラルに到着。友の会メンバーがお茶でもてなし、一緒に声援を送った。 下町ボブスレーは男子2人乗り(出場計6チーム)に2、3号機、女子2人乗り(同4チーム)に1号機が出場。女子は失格したが、2号機は外国製と渡り合って2位、3号機は5位だった。 同じ型の2、3号機は、日本ボブスレー・リュージュ・スケルトン連盟から11月に計27の改善項目を指摘され、ソチでの使用を見送られた。プロジェクトは3号機に指摘された改善を施してこの日のレースに臨んでいた。 ほとんど改善を加えずに出場した2号機の好成績に、同プロジェクト推進委員長で大田区の金属加工会社経営細貝淳一さん(47)は「私たちのそりは相当速い。(ドイツの自動車メーカーでボブスレーも製造する)BMWにも対抗できるようになりたい」と話し、採用見送りの悔しさを少し晴らした様子だった。 2号機パイロットは長野まで4大会続けて冬季五輪に出場し、この日は長野以来の公式戦という脇田寿雄(としお)選手(48)。左脚の肉離れを押してのレースで2位になり、「操作しやすかった」と評価した。 下町ボブスレーの活躍を一緒に喜んだ友の会副会長の竹元光義さん(70)は「これをきっかけに交流を深め、下町ボブスレーの取り組みを支えたい」。国産そりの成功で競技がさらに活性化し、スパイラルの存続にもつながれば―と願った。レース後、スパイラルを出る大田区の人たちに地元産リンゴ30キロを贈り、がっちり握手していた。 友の会などは18日、来年3月に国のナショナルトレーニングセンター(NTC)競技別強化拠点の指定期限を迎えるスパイラルについて、国に指定更新を要望した。(長野県、信濃毎日新聞社)
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