岡谷市のイルフ童画館は24日、同市出身の童画家武井武雄(1894~1983年)の作品を挿絵に使った「アンデルセン童話集」が、ドイツの出版社「タッシェン」から出版されたと発表した。日本語版はないが、英、独など5カ国語で出版され、同館は「武井作品が世界に羽ばたくきっかけに」と期待している。 童話集は「人魚姫」や「白雪姫」など23作品を収録。欧米を中心とする24人の画家、絵本作家の挿絵を使った。 武井の作品は、1928(昭和3)年に日本で出版された「アンデルセン童話集」の挿絵。今回は「眠りの精オーレ」に5枚、「空飛ぶトランク」に2枚使われ、画家の紹介欄などにも2枚掲載された。 昨年10月、タッシェンから岡谷市に使用の申し入れがあった。編集担当のノエル・ダニエルさんが、母校の米プリンストン大の図書館で28年の童話集を見て武井作品に感銘を受けたという。ノエルさんは「西洋芸術の影響を受けながらも、極めてユニークな作風を独自に築いている」と、童画館に伝えてきたという。 館長の山岸吉郎さんは「80年以上前の絵が、現代の欧米人の目にも新しさを感じさせるとは素晴らしい」と話している。タッシェンの童話集は横20・5センチ、縦25・5センチで320ページ。同館で4725円(税込み)で販売している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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