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14年度政府予算案 県内の高齢者や子育て世代懸念

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 24日閣議決定された2014年度政府予算案は、高齢化に伴う年金や医療費の自然増に対応し、少子化対策も拡充させるとした半面、消費税率や厚生年金保険料率の引き上げ、年金の減額など家計への痛みも伴う。全国に先駆けて高齢化が進み、都市部に比べて景気回復の実感も薄い県内で、70歳を目前にした人たちや子育て中の世帯からは「負担ばかり増えるようで、苦しい」との声も上がる。  「今でさえ交通費や医療費を気にして病院へ行くのをためらう人がいるのに大丈夫だろうか」。松本市四賀地区の社会福祉協議会で、お年寄りの病院への送迎を担う降籏直人さん(69)=松本市会田=は、そう心配する。来年4月以降に新たに70歳になる人から、特例で1割に据え置かれていた70~74歳の医療費窓口負担が2割に増えるからだ。  厚生労働省の推計では、これに伴う1人当たりの自己負担額は平均で、現在の年4万5千円から年7万4千円になる。70歳を目前に、降籏さんは「負担ばかり増えるのは苦しい」とするが、「子どもたちの世代のことを考えると、仕方ないという気持ちにもなる」と複雑だ。  長野市中条日高でキノコを生産する久保田勝喜さん(69)はこの日、代表を務める地元の直売所にシイタケやナメコを持ち込んだ。培地に使う油を搾った後の大豆などの輸入原料は、円安で価格が上昇したが、販売価格は上げられない。販売不振になることが心配だからだ。来春からの消費税率8%にも「増税分を価格に転嫁できるだろうか」と懸念する。  久保田さんは年金を受給している。国は年金支給額を今年10月分から段階的に計2・5%引き下げている。「生涯現役でやっていくしかない」  11年3月の県北部地震で被災した下水内郡栄村。JR飯山線森宮野原駅前で衣料品店を営む福島博さん(75)=下水内郡栄村森=は「景気回復の実感はまるでない。(消費税が)8%になればさらに落ち込んでしまうだろう」と嘆く。  震災で多くの住宅に被害があった同村。国などの支援金を受けたものの、ほとんどの人は貯金を切り崩すなどして自宅を建て直したり改修したりした。負担がかさみ、「お客さんに買い控えの傾向がある」という。売り上げは震災前の半分程度だ。「(消費税率引き上げ分を)商品価格に転嫁しないわけにもいかず、笑っていられない」  みずほ総合研究所の試算では、夫婦と子ども2人の4人家族で年収が500万円の世帯では、14年度は13年度に比べ、消費税率引き上げなどで年間7万2332円の負担増となる。増税による税収は仕事と育児の両立にも充てられるとされている。  「消費税の増税で保育を充実させるといわれるが、そんなに大きく変わるのか」。飯田市内の大型スーパーで24日夜、妻と1歳半になる子どもと買い物をしていた会社員男性(30)は首をかしげた。夫婦共働きで市内のアパート暮らし。保育所は3歳未満児の空きがほとんどなく、希望する保育所に行けなかった。  「毎日の生活を考えれば、増税しない方がむしろありがたいくらいだ」と話した。(長野県、信濃毎日新聞社)


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