諏訪大社は24日、2016年の諏訪大社御柱祭で、上社の御柱用材を上伊那郡辰野町内の国有林から切り出す方針を明らかにした。用材となるモミの巨木を諏訪地方以外から調達するのは「江戸時代以降で初めて」(諏訪大社)だった前々回の2004年から3回連続。上伊那地方からは初となる。 上社は長年、八ケ岳・阿弥陀岳近くの御小屋山(おこやさん)(茅野市・2137メートル)の社有林から用材を調達してきたが、1959(昭和34)年の伊勢湾台風で倒木被害を受け、成長した木が不足。このため98年は下社(諏訪郡下諏訪町)と同じ東俣国有林(同)で切り出し、04年と10年は北佐久郡立科町内から調達した。 大社は次回の御柱祭に向けて昨夏以降、県内の森林管理署から情報を得て複数の山林を視察。下見を経て、辰野町西部にある横川渓谷周辺の国有林を選んだ。 上社本宮で記者会見した北島和孝宮司は「私の目では立派な柱になり得るものがあったが、候補木選びはこれから」とし、山を荒らさないよう見守ってほしいと呼び掛けた。 上社の候補木を見定める「仮見立て」は来年秋ごろ実施。伐採は16年の祭り直前に行い、本宮(諏訪市)と前宮(茅野市)の四方に建てる計8本のモミを切り出す。下社側は例年通り、東俣国有林で切り出す。 上社側では今後、地元自治体や氏子に呼び掛けて有志団体を設立。森林管理署と用材の売買契約を結んだり、伐採地の保全・植林活動に取り組んだりする方針という。(長野県、信濃毎日新聞社)
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