県建設業厚生年金基金(長野市)の多額横領容疑事件で、長野地検は25日、同基金の資金1億3千万円余りを着服したとして業務上横領罪で、元事務長坂本芳信容疑者(56)=別の業務上横領罪で起訴済み=を長野地裁に追起訴した。坂本被告の起訴は2回目で、起訴された横領額は計約2億円となった。 県警は年明け、坂本被告を同基金の資金を着服した別の業務上横領容疑で3回目の逮捕をする方針。23億円余りに上る同基金の使途不明金について、同被告は「すべて着服し、すべて使った」と供述しており、県警は余罪の裏付けをさらに進める。 起訴状によると、坂本被告は事務長を務めていた2010年5月10日、長野市内の金融機関で同基金名義の口座から1億3330万円余りを引き出し、うち6240万円を横領、6月3日、同様に1億3268万円余りを引き出し、うち6820万円を横領したとしている。 長野地検によると、坂本被告は事務長兼出納員として経理業務全般を統括する立場で、基金の預金管理や納付された掛け金の運用委託先への送金などの業務を担当していた。これまで起訴した約2億円は全額使っていたという。 坂本被告の弁護人は「本人はまだ横領した金があると話しているので、捜査はまだ続くだろう。横領した現金は一円も残ってないと言っていて、本人は弁済の心配をしている」としている。 捜査関係者によると、坂本被告は、横領を始めた動機について、同基金の投資先で巨額の損失を被った未公開株を扱う都内のファンド運営会社の役員から接待を受けるうちに「自分でもっと遊びたくなった」などと供述している。県警は同社関係者を任意で事情聴取するなどし、動機の裏付けや未公開株への投資に至った経緯などを確認しているが、関係者の病気療養などで捜査に時間がかかっている。(長野県、信濃毎日新聞社)
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