県の環境影響評価技術委員会(委員長・亀山章東京農工大名誉教授)は26日、県庁で開き、JR東海が進めるリニア中央新幹線計画に関する環境影響評価(アセスメント)準備書について2回目の審議をした。JR東海は、県内路線のトンネル掘削に伴う残土の発生量を、搬出するトンネル坑口(出入り口)別に初めて明らかにした。全体量約960万立方メートルのうち、二つの作業用トンネルの出入り口を計画している下伊那郡大鹿村釜沢地区が2割弱の160万立方メートルで最も多い。 県内の作業用トンネル坑口11カ所と、掘削残土を搬出する本坑坑口3カ所からの搬出量はそれぞれ5~160万立方メートル。大鹿村釜沢に次いで多いのは、作業用トンネルが2カ所計画されている木曽郡南木曽町のうち西側の110万立方メートル。 委員からは、残土運搬で通過する道路や動植物への影響も調査すべきだとの指摘が出た。JR東海の沢田尚夫・中央新幹線建設部担当部長は、処分先は今後決めるため「決定した段階で必要な保全措置や事後調査をする」と説明。亀山委員長は「処分先が決まらないと何も示せないというのでは、大きなものがわからないまま過ぎていく不安が大きい」と指摘した。 このほか、地質がもろく問題があるとされる大鹿村の小渋川沿いへの変電所設置や、小渋川を地上で通過する計画について「全体的なバランス、総合的な判断で決めた」とのJR側の見解に、委員から「地元の懸念に答えていない」との声が出た。 審議は今後2~3回開き、阿部守一知事に報告。知事は市町村の意見も踏まえ、3月25日までにJR東海に意見を提出する。(長野県、信濃毎日新聞社)
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