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信大病院が高血圧に新治療法 腎臓近くに高周波、臨床試験へ

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 信州大病院(松本市)の循環器内科は早ければ来春から、薬を飲んでも血圧が下がらない「治療抵抗性高血圧」の患者に、腎臓近くの神経に高周波エネルギーを当てて働きを抑え、血圧を下げる新たな治療法の臨床試験を始める。治療抵抗性高血圧の患者は何種類もの薬が必要で医療費がかさむ上、脳出血のリスクも高い。「腎デナベーション」と呼ぶ新治療法は特殊なカテーテル(細管)を使い、1回の治療で安定した降圧作用が長期間得られると期待されている。  臨床試験を担当する信大の宮下裕介准教授(48)によると、腎臓は血圧を上げるホルモンを分泌するなど、血圧の制御に深く関わっている。腎臓につながる交感神経が必要以上に働くことが、血圧を上げる一つの要因。従来の治療では交感神経の働きを抑える「β(ベータ)遮断薬」も使うが、ぜんそくを誘発したり、脈が徐々に遅くなったりする副作用が課題だった。  新治療法では、脚の付け根からカテーテルを入れて腎臓につながる動脈に送り込み、先端部から高周波エネルギーを当てて動脈表面の交感神経の機能を抑制する。欧州で5年ほど前に実用化され、1回の治療で効果が持続することが確認されたという。  信大は欧州で使われている機器を臨床試験に使い、安全性と有効性を確認する。治療抵抗性高血圧の患者で、降圧薬を3種類以上飲んでも上の血圧(収縮期血圧)が160以上の人が対象。他の医療機関と共同で行い、信大は十数例行う予定だ。医療費の一部は機器メーカーが負担する。臨床試験前であることなどから機器やメーカー、参加機関は公表していない。  国内では他メーカーの同種の機器で臨床試験が始まっているが、信大が使う機器は広い範囲を一度に照射し、交感神経の働きを抑えられる。痛みなど、患者の身体的負担も軽減できるとしている。  宮下准教授は「1回の治療で降圧効果が持続するので、薬を長年飲み続けるより医療費がかからない。高血圧が原因で起きる合併症の予防も期待できる」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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