人気作家東野圭吾さんの新作文庫本「疾風ロンド」に登場する「里沢温泉スキー場」のモデルが野沢温泉スキー場(下高井郡野沢温泉村)ではないかと、愛読者やスキーヤーの間で話題になっている。場内や周辺地域を連想させる固有名詞や情景が数多くあるとして、同スキー場にも問い合わせが寄せられている。 盗まれて長野県の里沢温泉スキー場の雪山に埋められた生物兵器をめぐる物語。11月15日に発売され、既に100万部が発行された。野沢温泉スキー場の日影ゲレンデを連想させる「日向ゲレンデ」が登場し、ブナ林やパウダースノーといった特徴も描かれている。「最大の、そして唯一の財産」のスキー場を、地域を挙げて支える住民の思いにも触れている。 スキー場の運営会社「野沢温泉」の河野博明社長(62)によると、発売後に「これって野沢温泉ですよね」「登場した場所をたどってみたい」などの問い合わせが寄せられた。「スキーをしない人からも電話がある。さすが人気作家」と河野社長。同社は人気にあやかり、「里沢温泉スキー場」と記したポスターを作って場内に張り出した。 地元では「昨シーズン、東野さんが取材に訪れた」との証言もある。出版元の実業之日本社(東京)の担当者は「似通っている部分は多々あるが、想像にお任せします」とした上で、「スキー場が盛り上がるきっかけの一つになればうれしい」と話している。(長野県、信濃毎日新聞社)
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