来年4月の消費税増税まで3カ月余となり、県内の交通機関で、運賃の引き上げを決める動きが目立ってきた。一方、スーパーなどの小売店では、税込み、税抜きといった価格表示で対応が分かれている。 長野、松本、諏訪で路線バスを運行するアルピコ交通(松本市)は、4月1日に平均2・817%の値上げをすると国土交通省に申請。長電バス(長野市)も、屋代須坂線の運賃を引き上げることを明らかにした。いずれも通勤・通学定期は連動して値上げする。 同省は10月末、鉄道とバス会社に対して「円滑かつ適正な転嫁を行うことを原則とする」との方針を示し、運賃の改定方法などを盛り込んだ。 JR東日本などJR旅客6社と長野電鉄(長野市)は今月、運賃・料金の値上げを同省に申請。しなの鉄道(上田市)は来年1月下旬をめどに転嫁について方針を決める予定だ。 ただ、タクシー会社には国の方針が示されていない。中央タクシー(長野市)は「(国交省が特別な審査をせずに認可する)自動認可運賃が示されれば、その下限にしたい」、アルピコタクシー(松本市)は「業界全体の流れや国の方針を見ながら決めたい」といい、方針を決めかねている事業者が多い。 消費税増税を控え、小売業界には税抜き価格の表示も認められた。県内に約30店舗を展開するツルヤ(小諸市)は「お客さまに本体の価格が変わってないことを示したい」と、税込み、税抜き価格の併記を続ける。マツヤ(長野市)は店頭では税抜き価格を表示する方針だ。 「お客さまは自分が支払う金額を知りたいだろう。ただ、税込み価格のみにすると、必要以上に値上げしていると思われてしまう心配がある」と話すのは、表示方法を検討中というアップルランド(松本市)の担当者。ながの東急百貨店(長野市)は「食料品や衣料品など全品目で統一した表示にする」といい、来年1月上旬には決める予定だ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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