長野市の写真愛好家の男性5人が、3月に廃止された長野電鉄旧屋代線の記録をまとめた本「おつかれさま。そして、ありがとう!長野電鉄屋代線」を自費出版した。5人が撮った写真を中心に資料510点を掲載。沿線地域の情報なども盛り込み、「素人集団だからこそ一般の人にもなじみやすいものになった」という自信作だ。 A4判、160ページ。須坂(須坂市)から屋代(千曲市)までの13駅を、各駅ごとにまとめた。電車がトンネルを通過したり、ホームに停車したりする様子や、乗り込む学生、周辺の観光名所などの写真も収録。屋代線廃止までの経緯や、廃止に伴い開かれたイベント、観光名所などを紹介するコーナーも設けた。 5人は県労働金庫(長野市)を利用する年金受給者でつくる「虹の会」の会員。県労金本店のロビーで写真展を開くなどして意気投合した。屋代線廃止が迫った昨年末、忘年会で「写真を残しておこう」と話し合い「長野電鉄屋代線を惜しむ会」を結成、撮影を始めた。 分担して駅舎や列車を撮影するうち、駅に設置された案内板で紹介されている周辺の観光スポットにも足を延ばすようになった。5人が撮りためて持ち寄った写真は2300枚近い。屋代線と共に歩んだ地域の歴史なども事細かく調べ上げ、「せっかくだから」と本にまとめた。同会代表の長沢亮一さん(72)=長野市富竹=は「当初は本にしようとは思っていなかった」と振り返る。 編集総括を担当した小林耕一郎さん(76)=同市上松=は「何年かたってからこの本を読み返し、屋代線を懐かしく思い出してもらえたらうれしい」と話している。 1冊千円。千部発行し、わずかだが残部がある。問い合わせは長沢さん(電話090・3204・7255)へ。(長野県、信濃毎日新聞社)
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