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木曽馬で「馬搬」復活を 開田高原で2頭が練習中

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 木曽郡木曽町開田高原で日本在来馬「木曽馬」の飼育・保存に取り組む「木曽馬の里・乗馬センター」が、昭和30年代ごろまで地元で行われていた馬による木材の運搬手法「馬搬(ばはん)」を復活させようとしている。うま年の今年、まずは木曽馬が木を引っ張って運ぶ様子を公開。木材産地ならではの文化と木曽馬保存に対する関心を高め、地域活性化につなげようと考えている。  かつて馬搬をしていた同町開田高原の奥田孝さん(79)によると、同地域では昭和30年代を中心に、体格の良い馬を使って山から木材を搬出していた。「自動車が入れない場所で木を運ぶのに馬を使った。小回りも利き、どんな山にも入れた」と振り返る。  開田高原の農家はかつて農耕用に木曽馬を飼い、木材の運搬にも活用した。近隣の同町新開では「近くの山からまきに使う木を木曽馬で運んだ」と言う人もいる。だが昭和40年代以降、耕運機の普及で木曽馬を飼う農家が減少。木材の搬出に使う林業機械も普及し、馬搬をする人はいなくなった。  復活への試みは、同センター職員の中川剛さん(36)が2012年11月、遠野馬搬振興会(岩手県)などが上水内郡信濃町で馬搬を実演したのを見たのがきっかけ。中川さんの自宅にも、馬搬で木材を引っ掛けるのに使ったとみられる金具が残っており、「開田高原でもできるのでは」と思ったという。  馬が木を引くには訓練が必要で、中川さんは昨年から、4歳と16歳の木曽馬を使ってセンター敷地内で練習。まき用の長さ約2~4メートルの丸太なら、十分に引いて歩けるようになった。まずは多くの人に関心を持ってもらおうと、今月下旬に練習の様子を公開する計画だ。その後は関係するイベントやまきの運搬などを地域内で実施しようと考えている。  いずれは木曽馬が運んだ木材を使って付加価値が高い木製品を作るなど、地域活性化につなげるのが中川さんの願いだ。1976(昭和51)年に32頭まで減った木曽馬の全国の飼育頭数は、昨年2月末時点で157頭(木曽馬保存会事務局調べ)。センターでは約30頭を飼っており、中川さんは「馬搬の復活が、木曽馬を見直すきっかけになればいい」と期待している。(長野県、信濃毎日新聞社)


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