県内に事務所を置く10厚生年金基金のうち、甲信越印刷工業、県卸商業団地、北信越管工事業(いずれも長野市)の3厚年基金が解散する方向になったことが6日、信濃毎日新聞の取材で分かった。AIJ投資顧問(現MARU)による年金資産消失事件の影響や長引く低金利傾向による資産運用悪化で各厚年基金の積立金は不足しているため、解散を選択した。県内では県建設業、長野山梨石油(いずれも長野市)の2基金が既に解散方針を決めている。 解散の方向を決めた北信越管工事業(約350社、加入員約3600人)、甲信越印刷工業(約150社、約2600人)、県卸商業団地(約70社、約2100人)は昨年5月以降、それぞれ代議員会や理事会で協議、判断した。 この3基金は判明している2011年3月末時点で、AIJに、甲信越印刷工業が38億円余、北信越管工事業が30億円余、県卸商業団地が8億円余の運用を委託し、事実上、消失している。一方で解散するには、国から預かって運用している公的年金の代行部分の資産を返還する必要があるが、いずれも積立金が不足しており、加入企業が分担する。3基金のうちのある基金の常務理事は「年金資産消失の影響が大きい。傷口が大きくなる前に、少しでも早く対応したい」と話した。 厚生労働省などによると、解散すると、各基金が厚生年金に上乗せして支給している年金を、退職した従業員らは受け取れなくなる。各厚年基金の財務状況の悪化に対応し、法施行5年以内の解散を促す年金制度改正法が2014年4月に施行予定。まだ解散するかを決めていない県内の残り5基金は、今後の代議員会などで対応を協議する。 長野山梨石油は12年9月の代議員会で解散準備を進めると決定。県建設業は13年5月の代議員会で年金制度改正法が成立し次第、解散への手続きを進めると議決していた。(長野県、信濃毎日新聞社)
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