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大町の「塩の道博物館」、運営会社が解散 有志ら存続の道を模索

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 大町市の市街地観光の拠点になっている旧塩問屋「塩の道博物館」の運営会社が、経営難などから10月に解散した。博物館は今も開館しているが、所有者との正式な賃貸契約がない状態で、市が同社に委託していた併設の「流鏑馬(やぶさめ)会館」の運営も宙に浮いている。30年にわたって市民の手で保存してきた貴重な歴史遺産だけに、有志らは存続の道を模索している。  建物は、江戸時代に日本海と松本地方を結ぶ「塩の道」(旧千国街道)の中継点として塩問屋を営んだ平林家の母屋と土蔵群だ。1980(昭和55)年に取り壊し計画が浮上し、81年に保存を望む市民らが「大町の歴史的環境を保存する会」を結成。82年に有志が株式会社「塩の道博物館」を設立し、資料展示施設として開館した。  2000年になって市が土蔵の一つ、みそ蔵を買い取って市内の神事「子ども流鏑馬」を紹介する流鏑馬会館に改装。同社は、博物館との一体運営を前提に同会館の運営を年270万円で市から受託した。だが、90年代前半に年間5万~6万人だった入館者は、11年には8千人余に。近年は同社役員らからの借り入れなどでしのいでいたという。  関係者らによると、解散を決めた10月15日の臨時株主総会までに、建物の維持修繕などに公費助成を受けることも視野に、非営利組織による運営に移行するとの方針を株主43人が了解した。  博物館は現在、有志による運営委員会のスタッフらがほぼボランティアで運営している。市も流鏑馬会館に関わる手数料をスタッフらに支払う形で空白期間をつないでいるが、「あくまで暫定的な措置」(観光課)としている。  今のところ、博物館は所有者との信頼関係に基づいて正式な契約なしで借りている。運営委は年度内に新たな受け皿づくりにめどをつけたいとするが、冬場は入場者が少なく、約60万円の赤字になる見通しで一時休館も検討している。設立時から同社社長を務めた相模一男さん(78)は「時代に沿った新しい運営が必要。若い方々で何とか方策を見いだしてほしい」としている。(長野県、信濃毎日新聞社)


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