カメラ用交換レンズなど製造のコシナ(中野市)は東大などと共同で、超小型人工衛星に搭載して、宇宙で星を撮影するカメラシステムを開発した。衛星の姿勢や向きを制御する「衛星の目」として利用する。民間の気象衛星に採用され、昨年11月に初めて打ち上げられた。今年打ち上げが予定されている複数の衛星にも搭載される見込みだ。 1959(昭和34)年の設立以来、同社が主力としてきたレンズ関連の技術を応用、宇宙で使用できるよう耐久性などを高めた。かつて国内のカメラ産業をリードした県内の基幹技術の一つが、宇宙でも活躍する。 「スターセンサー」と呼ばれるカメラシステムは、特定の星を撮影し、その位置などを分析することで衛星の姿勢や向きを判断する。コシナが専用レンズを設計。衛星打ち上げ時の急激な気圧変化や、宇宙空間の温度変化に耐えられる構造を考え、星のわずかな光を捉えるため太陽などが発する光を遮るようにフード部分の形状も工夫した。 東大のほか、超小型衛星開発などのアクセルスペース(東京)と共同で実用化した。昨年11月に打ち上げられた気象情報会社ウェザーニューズ(千葉市)の観測衛星「WNISAT―1」に搭載。コシナによると、東大などが開発している別の2機にもシステムが搭載されており、衛星が打ち上げ待ちの状態になっている。さらに複数の衛星で採用される可能性があるという。(長野県、信濃毎日新聞社)
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