埴科郡坂城町坂城のしなの鉄道坂城駅構内で昨年9月に発生した普通列車と工事用車両の接触事故で、業務上過失往来危険容疑で地検上田支部に書類送検された運転士の男(32)=長野市=が昨年のしなの鉄道(上田市)の調査に対し、工事用車両は目で確認できていた―といった趣旨の説明をしていたことが22日、同社への取材で分かった。 22日に送検した千曲署などによると、運転士は「本線との合流地点付近に(工事用車両が)いるのは分かっていた」と供述した。一方、しなの鉄道は昨年12月下旬の事故の最終報告書ではそのことには直接触れず、坂城駅のホーム停止位置では「運転士から工事車両はよく見えなかった」と記載していた。 しなの鉄道経営企画課の岩下秀樹課長は書類送検後の取材に、運転士から停車中に工事用車両を目視で確認していたとの説明を受けていた―とした。その上で「最終報告書は、(本線の列車との接触を避ける)車両接触限界標を超えているかは見えていなかったという意味だった」と説明した。 事故当時は夜間で、普通列車の停止位置と事故現場は約190メートル離れており、はっきりと見える状況ではなかった―とし、「報告書の表現は言葉足らずだったかもしれない。運転士から話を聞き、再度確認したい」と話した。 22日に書類送検されたのは、運転士のほか、しなの鉄道から工事を受注し工事用車両の操作などをしていた作業員の男(55)と作業監督者の男(52)。送検容疑は、昨年9月3日午前0時すぎ、本来の作業規定を怠って、作業監督者ら2人は引き込み線から工事用車両を本線近くまで移動させ、運転士は工事用車両と接触する危険性があったのにもかかわらず列車を進行させ、接触事故を起こした疑い。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧