県の山岳遭難防止対策検討会(座長・節田重節(せつだじゅうせつ)日本山岳会副会長)は12日、県庁で最終会合を開き、安全登山は入山規制によらずに啓発活動や情報発信を柱に対応する内容でまとめた報告書案を了承した。県は提言を踏まえ、新設する山岳高原観光課を中心に具体的な対応を進める。 報告書案は、県内を訪れる登山者層は中高年のほか、20~30代女性を中心とする「山ガール」や韓国など外国人にも広がり、経験や危険性の認識が不十分な人たちが増えていると指摘。阿部守一知事が検討会の議論で視野に入れるよう求めていた入山規制について「効果は期待できるが個人の自由な活動を制限することになる」とし、山の裾野が広い県内では規制地域や期間の設定が困難と結論付けた。 入山規制以外の対策としては、登山者の多くが情報を入手しているインターネットを活用して遭難防止につながる情報を積極的に発信することや、主な登山口で遭難の危険性を直接登山者に訴える取り組みなどを挙げた。 委員からは「遭難が増え、入山規制もやむを得ない―との議論もあり得たが、導入見送りは評価できる」といった意見が出た。この日の議論も踏まえて節田(せつだ)座長が報告書をまとめ、3月下旬に知事に提出する。(長野県、信濃毎日新聞社)
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