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パイプハウスの再建に影 雪害の影響で資材不足

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 記録的な豪雪で損壊した県内の農業用パイプハウスの再建で、必要な資材が不足するのではないかと農業関係者が心配している。花の栽培やコメの育苗に必要なハウスは、消費税率引き上げを4月に控え、年度末にかけて駆け込み需要が集中。雪害に伴う再建需要も急増している。県は21日、県農協グループやハウス販売業者らとの連絡会議を県庁で開き、対策に乗り出す。  県農協中央会の20日までのまとめによると、県内のパイプハウスなどの農業生産施設の損壊被害は4千棟超。規模はさらに拡大する見通しだ。  佐久市のパイプハウス施工販売会社は例年3、4月、コメの育苗用ハウスを50~100棟受注しており、今回の雪害では既に約1千棟分の問い合わせが寄せられた。  この会社の経営者は「何十年もかけて建設してきたハウスが一気にやられた。九州のメーカーにも手配してパイプをかき集めている」。全国的な雪害の影響で「パイプの取り合い」になっているとし、コメの育苗前に全てのハウスを再建するめどは立たない。  全国展開する別の園芸施設メーカーによると、年度末にかけて消費税増税をにらんだ受注が相次いでいた。そこに雪による損壊が重なり、担当者は「パイプの手配が輪を掛けて難しくなった」と話す。  このメーカーによると、一般的なハウス価格は1棟(約330平方メートル)当たり約200万円で、20~30センチの積雪に耐えられる。太いパイプを使う耐雪型は積雪40~50センチまで耐えられるが価格が2割ほど高い。多くの農家は一度建てたハウスを10年以上利用するという。  全国のハウス被害の全容はまだ明らかになっていないが、再建の受注はさらに増える見通しで、このメーカーの担当者は「パイプメーカーに増産をお願いした」。4月に迫るコメの育苗用ハウスを優先的に手配する考えだ。  県内のハウス被害は、豪雪地帯ではない東信、諏訪地域に集中。こうした地域は、太いパイプを使い、頑丈な骨組みの耐雪型ハウスを導入していない生産者も多く、被害拡大につながったとみられる。  県農業経営者協会長を務める東御市のコメ農家、荻原慎一郎さんは、直径3、4センチのパイプを使った耐雪型ハウス3棟が雪で損壊した。中にあった田植え機やコンバインも押しつぶされて一部が壊れた。「積雪1メートルくらいは耐えられると聞いていたが…」と漏らす。  荻原さんはこのほか、育苗用ハウス3棟も被害を受けた。4月上旬に育苗を始める予定で、この3棟を再建するため業者に発注した。ただ、全国的な需要の増加で育苗時期までに間に合うか見通しが立たないという。  県農政部や県農協グループもパイプハウスの再建が順調に進むかどうか注視しており、21日の連絡会議では、ハウス販売業者を交えて再建に向けた需給見通しなどの情報交換をする方針だ。(長野県、信濃毎日新聞社)


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