長野市保健所が2012年度に収容した犬や猫のうち殺処分になった割合(殺処分率)は9・25%で、保健所を設置している都道府県と全国の政令指定都市、中核市計107の中で最も低かったことが21日、市保健所や環境省への取材で分かった。市保健所は「殺処分ゼロ」を目指して、ボランティアの協力を得て譲渡先が見つかるまで飼育してもらうなどの取り組みに力を入れており、飼い主や新たな譲渡先に引き渡した返還・譲渡率は88・77%に上る。 市保健所が12年度に保護したり、飼い主らから引き取ったりした犬、猫は計454匹。うち252匹は譲渡、151匹は飼い主の元に返した。殺処分(自然死を含む)は42匹だった。その他(けがをした猫を保護し治療後に放すなど)は9匹。 長野市は04年度まで殺処分率が70%を超えていたが、09年度から、1週間程度としていた引き取り期限をなくし、元の飼い主や新たな譲渡先が見つかるまでボランティアや保健所が飼育を続けることにした。殺処分するのは病気やけがで回復の見込みがない場合とした。現在も、ホームページで収容した犬や猫の写真など情報を提供し、毎月1回譲渡会を開くなどしている。 飼育などを担うボランティアは市内外に20団体計37人いるという。市保健所の笠原和浩さん(43)は「引き続き、飼い主が責任を持って飼育するよう呼び掛けていく」とする。 環境省動物愛護管理室によると、107自治体の殺処分率は12年度が平均77・3%(処分数17万2378匹)で、返還・譲渡率は同22・54%。 長野県が設置した10保健所の殺処分率は平均55・15%(処分数1863匹)、返還・譲渡率は同44・40%。県の担当者によると、長野市保健所に限らず、県の10保健所が収容した犬、猫の殺処分も減る傾向にある。飼育や譲渡のために奔走してくれる各地のボランティアの存在が大きいという。(長野県、信濃毎日新聞社)
↧